君は完全にはしゃいでるのさ

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「大人の世界」
「子供のころ、家でインコを飼っていた。そのインコが話す言葉で「宿題やった?宿題やった?」というものがあった。何故、こんな言葉を喋るのだろうと、わからないまま高校生なった頃に、「僕が学校に行っている間に、母親が教えていた」という事に気がついた。
何故、高校生になって気がつくことができたのだろうか?多分、その何年の間に僕はいろいろなことを知り「あれは、母親が教えていたんだ」と気付いたんだと思う。
時間はただ過ぎるわけではない。そして今、僕らは母の歳になった。
大人は、子供の知らない沢山の事を知っている。長く生きている人は、短くしか生きてない人より、沢山の事を知っている。今の世は若いということがもてはやされるけど、年をとって、昔は解らなかった事が解るようになり、辛いことも楽しいことも知りながら時を経て、たまにはこうやって素敵な場所に集まって、騒げる歳になったことを祝いたいと思います。」

そう語り終えると、メトロノームが刻みだす。ゆったとしたテンポで「東京恋愛専科〜または恋は言ってみりゃボディー・ブロー」を歌いだす。サビ終わりの『素敵なNIGHT AND DAY』から、メトロノームのテンポが早く変わり、ギターを弾くストロークを強くしながら足をばたつかせたオザケンが高い声『それで、いつかいつか僕と君が〜』と歌いだすと、歓声があがる。そして、次の曲は「僕らが旅に出る理由」
2番の歌詞でまず会場の女性が
『そして君は摩天楼で 僕に宛て手紙を書いた 
「こんなに遠く離れていると 愛はまた深まってくの」と』
と歌うと、それにこたえるように男性が
『それで僕は腕をふるって、君に宛て返事を書いた。
とても素敵な長い手紙さ(何を書いたかはナイショなのさ)』
と歌い合うのには、ちょっと年甲斐もなくキュンとしてしまった。
立て続けて、「強い気持ち 強い愛」へ。イントロのストリングスが気持ち良いアレンジで歌い上げると「春にして君を想う」へ。ギターを爪弾く音が会場全体に気持ち良く響き渡る。本当にこの会場は、大きな音だけでなく小さな音もしっかりとクリアに響かせる。ストリングスが程よく小さな音で甘いメロディを奏でだし、歌の歌詞のようにゆったりと時間がたゆたう。