僕の心は震え 熱情が跳ねっかえる

そして朗読「人の体 街の体」
「僕はインド映画好きだ。特に好きなのは、ついていけないくらい独特な展開をするインド映画。僕の大好きなインド映画の落ちの一つに、輪廻落ちというのがある。輪廻落ちは、インドの生活の中から産まれ、映画となり生活に戻っていく。インドにある街の体から産まれた独特のものが、僕は大好きだ
僕の曲の中でテンポ130くらいの曲を130グループという。典型的なのは「愛し愛されて生きるのさ」とか。130グループの曲は、僕が痩せ気味で、腕が長くギターを持って作曲することから産まれてくる。もし僕が太り気味だったり、腕の長さが違っていたり、ピアノで作曲したら、130グループの曲は産まれてこないだろう。
完成した形で、皆は曲を聞いているわけだけど、僕は、ギターを弾きながら新しい曲と出会う。そんな雰囲気が感じられるように、僕と中村さん(ベース)が最初にスタジオで合わせる時のようにやってみます。」

メトロノームがテンポ130で鳴りだすと、ギターとベースとのセッションが始まる。そして、130グループ「強い気持ち 強い愛」、「さよならなんて云えないよ」「僕らが旅に出る理由」などの曲のさわりを歌い出す。「こんな曲ばかりでしょ?」と言った後、「暗闇から手を伸ばせ」が演奏される。歌い終わった後、バックの映像にLIFE期のオザケンの姿が映し出され、「愛し愛されていきるのさ」が演奏される。会場中が懐かしい映像を見ながら、「懐かしい」「若い!」などと口ぐちに話しだす。アットホームな雰囲気と笑いに包まれる。ひふみよで恒例となった「我ら時をゆく」の部分を思いっきり大合唱。次の曲は、これもひふみよで恒例となった感じたかった僕らを待つ「ラブリー」へ。
「完璧な絵に似た」今、この時に、オザケンがギターをかき鳴らす。最高潮の盛り上がりに拍手が鳴りやまない会場。そして、「この曲のためにコンサートに来た人も多いと思います」の言葉と共に「ある光」へ。
この歌に込められた当時のオザケンの思いから、ファンにとって特別な曲となっている。
(この曲込められた思いは、前にこのブログで書いた「ある光の考察http://d.hatena.ne.jp/fredstar77/20071118」を見てください)
曲の終わりが近づくと、会場が明るくなり客席の僕たちも光に包まれる。そして、小沢健二が「Let's get on boad」の後、歌詞にはない「光よ、一緒に行こう!」と繰り返し叫びながら歌う。この歌詞に込められた想いと足をばたつかせながらギターをかき鳴らすオザケンの姿に涙が止まらなくなってしまった。あの時の問に答える解が見つかったんだと。何度も繰り返されたフレーズが終わり、最後にギターをかき鳴らし、「ある光」が歌い終わると、今日、何度目も巻き起こった中でも一段と大きな拍手が巻き起こる。多分、みんなわかったんだと思った。
そして、会場を落ち着かせるように新曲「神秘的」が奏でられる。
「今日の歌のように 確かな時を 遠く照らす」
新曲が歌い終わり、ライブも終盤に近づく。時間が過ぎ、コンサートの終わりの時が近づくことをもどかしく思った。

いつのまにかベースの中村さんがバッハのようなかつらをかぶっていた。手に持っていた指揮棒を振ると、ストリングスメンバーが「HAPPY BIRTHDAY」を演奏する。歓声が巻き起こり、会場全体で「HAPPY BIRTHDAY」を歌う。ステージバックの影絵にケーキが現れ、ろうそくに火が灯る。オザケンが「忙しい中、何をやっているんですか?」と言いながらも、メンバーに促され息を吹きかけると、ろうそくの火が消える。「本当にありがとう」と何度も礼を言うオザケン。ひとしきり感謝の言葉を述べた後、グッズにある絵柄の所以を説明する。エスペラール(待つ)とエスペランサ(希望)という事や日本の街並みを描いたTシャツ。それからサイトやスカーフにも使用されている星の形は、本当は手裏剣だということ。
「美しいのはいいけど、いつも戦う気持ちを込めたいなと思って手裏剣の形にしました。上からみるとステージのテーブルも、手裏剣の形となっているんです。すごく綺麗なスカーフなんですけど、実は「戦う気まんまん」という。原発はエネルギー問題じゃない!!(手裏剣シュッ)」

そして、オープニングを飾った七尾旅人をステージに呼ぶと、一緒に「今夜はブギーバック/大きな心」歌う。RAP部分を「俺、スチャアニ」と歌うオザケンに、また会場が笑い出す。曲が終わり再度メンバー紹介をすると、メンバーが次々とステージから降りていく。
そして、オザケンが一人残ると、拍手に包まれながらオープニングを飾った「東京の街が奏でる」が演奏される・
「その誓いを今も覚えていると
懐かしい友の住む 街で確かめてみる
いつか何かを探す 僕らを照らす 照らす 照らす」
「第11夜 本当にありがとう」の言葉と共に、この日何度も起こった鳴りやまない拍手のなか会場全体を優しさが包む。
いつまでも鳴り続ける拍手にオザケンがステージに呼び戻され、ゆっくりとお辞儀をする。