エスペラール、エスペランサの時。


小沢健二コンサート「東京の街が奏でる 第十一夜」 in 東京オペラシティに行ってきた。
一昨年の活動再開(ひふみよコンサート)から、毎日の忙しい生活のせいで、自然に時がどんどんと過ぎていくけど、この小沢健二のコンサートは、僕にとって長く待ち焦がれていたもの。
場所は、東京オペラシティオザケン曰く、コンサートに旅行していくってわけです。(「曰く」って言葉を使うと、いつも光栄のゲームを思い出す。司馬懿仲達曰くって感じで)

東京の友人と久しぶりの再会。
とりあえずお昼を一緒にということで、適当に入った店(友人曰く、注文の多い料理店みたいな店構え)へ。カウンターと小さな掘りごたつの席だけのこじんまりとしたお店で、少し昭和な雰囲気で居心地も良く、注文したオムライスが美味しくて大満足。後でネット調べてみたところ、けっこう人気店らしく、夜の予約は数カ月待ちらしい。是非、また行きたい。食事をしながら、結婚した?する?って話と7月に実家(鳥取県)へ家業を継ぎに帰るって事を聞いて、びっくりする。その後、予定をしていた美術館が休みのため、オペラシティ内をぶらつきながら時間を潰す。その合間にMIXI内でチケットを譲る予定の2人に、無事に会えて一安心。
(お2人ともとても丁寧な方で、お土産をいただいてしまいました。ありがとうございます。)

そんなこんなで頃あいの良い時間となり、グッズ売り場を見ているとTシャツのSサイズ、Mサイズが完売。このT-シャツは必ず買おうと企んでいたので普段なら取り乱すところですが、6月に名古屋パルコへひふみよショップが来るので、「ま、その時に買えばいいや」と判断し、色と絵柄に目星を付けるのみ。グッズはとても綺麗だったブルーのスカーフのみ購入。買い物を済ませて、ロビーを彩るひふみよTシャツを着たキツネ顔のマネキンとの写真を一通り撮り終えると、会場内の席へ移動する。
開演まで少し時間があるので、ステージ上の機材を覗きながら友人と「あーだ、こーだ」と話しあう(ステージに2つの池があり、複数のメトロノームやオルゴール置いてあること。ドラムがないこと。ステージ上のスタッフが黒子衣装、映像を映し出す施設がないこと。予測は、概ね正解。)

やがて開始時刻がせまってくると、ステージ上にあるメトロノームの音がマイクを通して会場に鳴り響きだす。複数のメトロノームが奏でる音は少しずれたまま「カチッカチッ」と重なり合う。こぼれ出すような期待感から、会場がざわつきだす。やがて、黒子衣装を着たスタッフがステージ上にあるメトロノームを1つずつ止めていく。やがて、メトロノームが最後の一つになると、「カチッカチッ」という音にリバーブがかかり、会場全体に大きく残響をのこし音が止まると、ステージが暗転する。

そして、ステージ脇より七尾旅人が登場。
ステージ上にある手巻きのオルゴールを回すと2ndアルバム「LIFE」の最後を飾る「いちょう並木のセレナーデ(reprise)」が流れ出す。オルゴールが鳴り終わると、七尾旅人がステージ真中へ移動する。「期待を裏切ってすみません。こんにちは、七尾旅人です。」と挨拶した後、手元にある原稿を片手にモノローグを語り出す。(このコンサートのオープニングは、東京の街を奏でているミュージシャンが日替わりで担当しているらしく、今夜は七尾旅人なのだという。)
ノローグ
(注:朗読のの内容は僕の記憶のみです。中身はだいたいこんなことを言ってたなってのを、勝手に文章にしてます。コンサートの雰囲気を味わう感じで読み飛ばしてください。)
「音楽は時間の芸術です。音楽は生きるために必要ではありません。本当に必要なものは食べ物や衣類や家です。音楽は無駄で贅沢で必要ないものです。だけど、音楽が鳴っている限り思いっきり楽しめる幸せな時を、待ち、望む(エスペラール、エスペランサ)ことが出来ます。だから、この街に音楽が鳴り続ければいいなって、そんな風に思います。」
そう語り終わった後、原稿から客席に目線をあげて「このモノローグを読んで、ぱっと思いついたメロディーがあるので歌いたいと思います。後でスタッフさんに怒られるかもしれないなぁ。小沢くんは何にも言わないと思うけど…」なんて話しながら、七尾旅人がアカペラで素敵な歌を歌い出す。

「もしあなたが耳をすませてくれたら、僕、お礼に小さな歌をあげるよ。」
歌い終わると、七尾旅人の素晴らしい歌声に大きな拍手が起こる。

そして、スクリーン上に映し出された影絵を指さしながら、コンサートを楽しむルールを説明する。(「座ってください」「立ってください」「女の子歌ってください。」「男の子歌ってください。」サインなど)
説明が終わり、再度モノローグの続きを語り出す。
「これまで東京の街では、沢山の音楽が作られ日本中の街で流れてきた。音楽を作り手は、あの部分を直したいなぁなんて考えたりするけど、時の流れのなかでゆっくりとこの街の音楽になっていくのです。」と語り終えると、もう一度オルゴールを鳴らしだす。曲が終わり、ステージが暗転する。