フィクション小説「細腕ロックン」

fredstar772006-10-17

「世の中くだらないやつらばっかりだ」
ロックンは、声に出さず叫んだ。
街でギター弾いてる「ゆず」もどきが大っ嫌いだ。
それを囲って座っている奴らも大っ嫌いだ。
遠くから聞こえてくるヘタクソなカラオケを聴かされながら歩く気持ちになってみろ!
それが進行方向にあった時本当に辟易する。
理由なんか説明するのも面倒だ。わかるだろう?こんな気持ち。
薄っぺらな奴らが、やろうとすることなんてクソだ。
「浅いんだよ、全てが。バカヤロウ」
もう一度ロックンは、声に出さずに叫んだ。
ロックンは足早にその場所を駆け抜け、iPODのボリュームを大きくした。
「最高だ・・・。打ち込みのビートにあわせて流れてくる美しいギターリフとピアノリフの掛け合い。CHATERHOUSEのmesmeriseはいつ聴いても良い。」




「・・・・、あふろっくーーん」


「うん、誰だ?俺の高校時代のあだ名を呼ぶやつは??」
<回想>
誰にだって消したい過去はある。
高校時代の俺は、白い手袋でアフロだった。
バイト代を叩いてミラーボールを買い、いつかディスコに入れる歳になったらと家で妄想しながら踊っていた。
「誰だよ?あいつ」みんなが俺を嘲笑をしながら珍しそうに見る。
しかし俺は気にしない。スタスタと進み颯爽と踊りだす。
「みて!イカスわ!」
彼氏が悔しそうに「ちぇ、あんなの大した事ねぇよ」声を絞り出す。
周りが「すごいやつがいる」と騒ぎ出す。そんな妄想ディスコをやっていた。
<回想終わり>


チラッと声をする方をさりげなくチェックする。
「あ、あの娘は・・・」


続く