ある光の考察(Hさんへ)

ども。感想ありがとうございます。
小沢健二に関してはどっぷり世代です。
渋谷系というものに翻弄され日本の音楽シーンがやっと素晴らしいものになると夢見てきた世代でもあります。
この素晴らしいものと言うのは、日本のチャートが世界にだしても恥ずかしくない音楽ばかりになるということ。
「????」なんて曲が、チャートのトップ10に入ってこないことです。そんなことにはなりませんでしたが・・・。
フリッパーズに関して、ほぼ後追いです。
「カメラカメラカメラ」「恋とマシンガン」なんかは聞いてましたが熱心に聴くようになったのは解散してからです。


さて、小沢健二「ある光」に関してですが、次のシングル「春にして君を想う」にノークレジットに入っていた時は私も驚きました。けどその時は、大人の事情って奴で時間を稼ぐために入れたのではないかなと思っていました。
「指さえも/ダイスを転がせ」までずっと過去を切り捨てて進んできた小沢健二が、急に前の曲調に戻ったと感じました。
しかし、その後の活動休止のことを考えると入れるべくして入れたのでは無いのか?なんて思ってます。




オザケンが「ある光」リリース時にオリーブの連載に書かれていたもの

さて、それでは今度の「ある光」。「ある光」とは「心の中にある光」。
光は全ての色を含んで未分化。無色の混沌。それはそれのみとして、分けられずにあるもの。切り分けられていない、混然とした、美しく大きな力。それが人の心の中にある。僕らの体はかつて星の一部だったと言う。それが結合して、体が在って、その心が通じ合ったりするのは、あまりにも驚異的で、奇跡で、美しい。そんな手紙をさっき書いたんだけど、そんな事を時には本当に思ったりします、僕は。(映画見て、その気になっていた。)



それを踏まえて「ある光」の考察



新しい愛 新しい灯り
麻薬みたいに酔わせてくれる痛みをとき


連れてって 街に棲む音 メロディー
連れてって 心の中にある光


この線路を降りたら赤に青に黄に 願いは放たれるのか
今そんなことばかり考えてる なぐさめてしまわずに


この線路を降りたら 虹をかけるような誰かが僕を待つのか?
今そんなことばかり考えてる なぐさめてしまわずに

小沢健二は新しい場所に行きたがっている。
小沢健二としての日常、今まで活動してきたアーティストとしての日常という線路を降りたらどうなるのだろうか?と
心の中にある(いろいろな色が混ざり合うことにより構成される)無色の光が、赤や青や黄(光の3原色のように、いろんな気持ちが混沌としていた状態からその一つ一つのが)細分化されそれぞれが救われるのか?新しい場所へ踏み出す指針となるような新しい出会いがあるのではないか?
そんなことを考えながら悩んでいる自分の気持ちを慰めずに、逆にその気持ちを大きく育てている。



(セリフ)
「強烈な音楽がかかり 生の意味を知るような時
誘惑は香水のように 摩天楼の雪を融かす力のように強く


僕の心は震え 熱情がはねっかえる
神様はいると思った 僕のアーバン・ブルーズへの貢献」

これを聴いた時、一瞬「天使達のシーン」の歌詞を思い出しました。
「神様を信じる強さを僕に 生きることを諦めてしまわぬように
 にぎやかな場所でかかり続ける音楽に 僕はずっと耳をすませている」
しかしこれよりもっと強い気持ちが込められているような感じがします。
リスナー(小沢健二フリッパーズ時代からリスナーとしての意識も強い)として心を揺さぶられるような音楽を聴いた時アーティストとしての生を感じ、新しい場所へなかなか踏み出せない自分に対しての啓示(神様はいる)を感じた。
もしかしたらその曲がアーバン(都会的)ブルーズだったのかもしれません。
今ニューヨークにいるという理由は、そこにあるかもというのは考えすぎかもしれませんが・・・。
まぁ、「僕のアーバンブルーズへの貢献」という歌詞は、CRUEL「PREFAB SPROUT 」からの引用らしいのですが・・・。



摩天楼の雪 融かされる日に
あと15分ばかりでJFKを追い


この線路を降りたら 海へ続く川 どこまでも流れるのか?
今そんなことばかり考えてる なぐさめてしまわずに


let's get on board!

JFKを追いというのは有名な演説「ニューフロンティア精神(現状維持に固執するのではなく新しい未来への先駆者となるよう)」を指していると思います。目的ははっきりしているけどそこに達するまでの道は何処まで続くのか?
それでも線路を降りて、海へ漕ぎ出すボードに乗ろう!


この曲をラストシングルにノークレジットで入れたわけは今後の活動に対する宣言文ではなかったのかな?と深読みしてみました。








P.S原田知世のバースデーアルバムは、「守ってあげたい」のナイスカバーが入っている奴を持っています。
トーレ・ヨハンソンも気に入っていた原田知世の「クローバー」以降?の声で歌う「時をかける少女」セルフカバーは今更ボッサできたか〜という感じ。
もうちょっと冒険して欲しかったような気がしますが、まぁ無難に良い感じです。


それでは、今回の一曲。
小沢健二ではなく原田知世「ロマンス」